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米国株
2021年1月2日 10時00分
特集

1ドル=100円割れが続かなければ、悲観は不要~

元為替ディーラー・YEN蔵さんに聞く!

「為替と株の新常態から考える2021年の日本株戦略」(上)

~株探プレミアム・リポート~

文/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

YEN蔵さんプロフィール:
YEN蔵さん本名は田代岳。外資系金融機関のシティバンク、スタンダード・チャータード銀行で20年以上、為替ディーラーとして活躍。現在は独立し、ADVANCE代表取締役として、投資や金融関連の情報発信を行う。

為替やFX(外国為替証拠金)取引から株式、債券など、幅広くマーケットを見渡したわかりやすい解説が人気。個人投資家として株式投資を行う横顔も持つ。

「うん、どうしてだ」

最近の株価と為替の動きに、首をかしげる個人投資家もいるのではないだろうか。世界景気に敏感な日本株にとって、これまでのセオリーは「円安株高」。輸出企業の収益にフォローとなる円安が進行すれば、株価が上向くという構図だ。

だがそのセオリーが、かつてのように明快にみられなくなった。足元では、2020年10月末からの米大統領選挙前後から「円高株高」の状況になっている(下の図)。

■日経平均株価とドル・円レートの日足(2020年10月20日~12月28日)

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こうした異変は2010年代に入ってから顕著になり、円高に進んでも株高に向かったり、為替が動かないのに株だけ暴れる局面もあったりする。こうした「株価と為替の新常態」が広がる中、金利やマクロ経済、政治情勢で動く為替市場の理解を深めることは、株式投資の質を上げるのに一層欠かせなくなっている。

2021年の株式投資戦略を組み立てるうえで、為替市場で注視すべきポイントはどこか。外資系金融機関で20年ほど為替ディーラーとして腕を磨き、為替市場の動きに精通し、また株式の個人投資家としての顔を持つYEN蔵さんに聞いた。

しばらく円高傾向、ただし102~104円の現在水準なら大きな心配なし

―― 年明け以降の為替相場について、円高に向かうことを心配する声も多いです。株式投資にとってはマイナス材料でしょうか?

YEN蔵さん(以下、YEN蔵): 確かにここから、春先に向けてゆるやかな円高基調が続くとは考えますが、株式相場においては大きなマイナス要因になるとは見ていません。

また現在の状況は「円高に進んだ」、というよりは「ドル安」になったことで結果的に円高になっているものだと考えます。従って、かつての円高局面のように直ちにリスクオフに向かう、という環境ともちょっと違っていると見ています。

ご存じのように、コロナ拡大による景気減退を食い止めるため、現在世界中で金融緩和を進めています。そうした中で、特にFRB(米連邦準備理事会)は「雇用の最大化、長期でのインフレ率2%上昇達成」を実現するまでは大規模の金融緩和策を続けると宣言しています。

緊急対応として講じた政策金利の利下げと、米国債および住宅ローン担保証券(MBS)を今後も買い入れ、世界中に大量のドルがダブつく状況が継続していきます。

他の通貨よりドルの供給量の伸びが大きければ、ドルの価値が他国通貨より下落するのが市場原理です。主要通貨に対するドルの価値を示す「ドルインデックス」は、1年前から6%台半ばの下落とドル安が進んでいます。

ドル・円相場でもドルは1年前から5%近い下落をする「ドル安円高」となっており、このトレンドはしばらく続くでしょう。

―― 自動車や電機、機械などの輸出セクターにとって円高は収益圧迫の要因。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など、これらセクターの大型株の構成比が高い株式指数には逆風ですね。

YEN蔵: たしかにそうした影響を受けるものの、私は2021年の株式相場については2020年の晩秋から進んできた「株高基調」が続くと見ています。つまり、ドル安円高が進む中で日本株の株高が続くということですね。

株式相場は常に先を見て動きます。足元では新型コロナウイルスの感染者が拡大し、不安な局面が続いていますが、市場の目はすでにコロナに対応するワクチンの普及や、世界経済の回復に向かっています。

同時にコロナの収束状況がどうなろうと、ネット化やデジタル化の動きが加速していくことは、もはや覆ることのない動きだと見ています。

これらからネットやデジタル系の関連銘柄を中心に、将来を見据えた株高の動きは、しばらく途絶えることはないでしょう。これが私の、為替と株を見通した全体の相場観です。

■ドル・円レートの週足チャート(2018年1月~)

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マザーズなど内需系は影響薄い

―― 為替の動きが、株式相場のかく乱要因にはならないのでしょうか?

YEN蔵: 先日発表された日銀短観の12月調査では、2020年度下期の想定為替レートは全産業で1ドル=106円55銭、大企業・製造業では1ドル=106円42銭と公表されています。また、日本経済新聞の報道では、2021年3月期決算の企業102社の平均値は1ドル=105円40銭とのことです。

足元のドル・円レートは103円台水準と企業の想定より円高となっており、収益押し下げの要素ではあります。しかし、それでも102円~103円の範囲であれば、許容範囲だと考えています。

ただし、多くの企業が想定する105円から5%以上も円高に進む1ドル=100円を割り込む形で円高が進行し、それが長期化した場合はさすがに危険水域として注意が必要です。

特に「重厚長大」と呼ばれるような大型の輸出企業株が保有株の多くを占める人は、警戒すべき状況ですね。

―― コロナ相場で株価が大きく上昇し、注目を集めたマザーズ銘柄への影響は?

YEN蔵: 私も個人投資家として株式投資をしていますが、特に中小型株が多い新興市場を中心に投資しているので、正直、為替の動きはあまり気にしていませんね。

マザーズや、その他新興市場でネット系など内需系を中心に投資している投資家さんであれば、あまり為替の動きは関係なく、神経質になる必要はないと思います。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

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