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2019年6月27日 19時30分
特集

押し寄せる奔流に乗れ、「クラウドゲーム関連」で凱歌をあげる株 <株探トップ特集>

―グーグルの参入で注目度急上昇、5G普及で成長加速期に突入するマーケット―

6月11日から13日に米国ロサンゼルスで世界最大規模のゲーム見本市「E3」(Electronic Entertainment Expo)が開催された。毎年、E3の開催前には各社がカンファレンスを開催し注目を集めるが、今年最も注目を集めたのは、米グーグルが11月に欧米14ヵ国で、クラウドゲームサービス「STADIA(スタディア)」の配信を開始すると発表したことだろう。クラウドゲームに関しては9日に米マイクロソフト社も、10月に北米で同サービス「xCloud(エックスクラウド)」の試験配信を開始すると発表した。これらの動きは、クラウドゲームが今後、ゲーム市場における新たな潮流となる可能性があることを示唆しており、関連銘柄には注目が必要だろう。

●専用機がいらないクラウドゲーム

クラウドゲームは、ゲーム操作に関する演算処理をデータセンターにあるクラウドサーバーが行い、その操作の結果の映像がインターネット回線を介してストリーミング(逐次再生)される仕組み。ゲームソフト本体はクラウドサーバー上にあるので、ユーザーはパッケージ版のようにゲームソフトを手元に置く必要がないことや、ダウンロード版とは異なり、専用機にダウンロードする必要もないといったメリットがある。

つまり、これまでのような高度な処理能力と容量を備えた専用のゲーム機が不要になる。スマートフォンやパソコン、インターネット回線に接続したテレビなどがあれば、場所や時間を選ばず、高精細な映像でゲームが楽しめ、更に専用のコントローラーがあれば操作性の高いゲーム体験が可能となる。

●古くて新しい技術

もっとも、クラウドゲーム自体はまったく新しい技術というわけでもない。MMORPG(多人数同時参加型ロールプレイングゲーム)などのオンラインゲームの仕様の一つで、以前は「ゲームオンデマンド」などと呼ばれていた。

日本では、スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> 傘下のスクウェア・エニックスが、2014年12月にクラウドゲーミングサービス「DIVE IN(ダイブイン)」を正式配信したが、15年9月にサービスを終了した。終了の理由については明らかになってはいないものの、会社側では決済システムなどについて触れていた。

また、ソニー <6758> も14年に「PlayStation(PS) NOW」を開始し現在では約70万人の有料会員数を持つまでになったが、PS4の累計販売台数が同時点で9680万台であったことを考慮すると、まだ規模は小さい。同社ではコンテンツの質の向上やマーケティングの強化などで、今後は年平均50%を超える成長を図るとしている。

●2022年にクラウドゲーム市場は126億円規模へ

クラウドゲームの市場がまだ小さいのには、特にアクション系のゲームなどで動作に遅延があることや、ゲームタイトルが少ないこと、利用料金の高さなどが指摘されている。

ただ、クラウドサーバーの処理能力は年々向上しているほか、5Gの普及が進めば高速通信や低遅延の実現が期待できる。グーグルやマイクロソフトの動きはこうしたインフラ面での進化を見越したもので、20年以降、市場は拡大期入りすると期待されている。

「週刊ファミ通」の出版や「ファミ通.com」の運営を行うGzブレイン(東京都中央区)の「ファミ通ゲーム白書2019」によると、18年の国内クラウドゲームの市場規模は、11億円と推計されているが、22年には125億9000万円に拡大する見通しだ。

●コンテンツのラインアップが重要

「STADIA」や「xCloud」の登場で、クラウドゲームの市場拡大が見込まれることから、関連銘柄にも恩恵が期待される。

まず動向が注目されるのは、前出のソニーだ。同社は5月、マイクロソフトとクラウドゲーム分野で協業することを発表した。それぞれのゲームやコンテンツのストリーミングサービスでの用途を目的に、将来のクラウドソリューションをマイクロソフトの「Microsoft Azure(アジュール)」を活用して共同開発することを検討するほか、半導体で、新たなインテリジェントイメージセンサーの共同開発の可能性を探るという。

今回の提携ではクラウドゲーム分野にとどめ、ゲーム専用機やソフトは今後も両社がそれぞれ展開することになる。前述の「PS NOW」の動向と合わせて注目が必要だろう。

一方、「クラウドゲームも結局はコンテンツのラインアップと価格が重要になる」(業界関係者)との見方があることから、ゲーム会社への注目度も高い。バンダイナムコホールディングス <7832> は、「ドラゴンボール ゼノバース2」を「STADIA」で配信する予定。また、カプコン <9697> は、「Microsoft Azure」からゲームの制作や配信ができる仕組みの提供を受け、開発に取り組んでいる。このほか、スクエニHD、コナミホールディングス <9766> など世界的なヒット作を有するゲーム会社や、オンラインゲームに強いガンホー・オンライン・エンターテイメント <3765> 、ケイブ <3760> [JQ]、ガーラ <4777> [JQ]などにも注目だ。

●メリットが大きいミドルウェア

さらに、ゲーム開発で利用されるミドルウェアの活躍の場も増えそうだ。

シリコンスタジオ <3907> [東証M]は、4月に発表した第1四半期(18年12月-19年2月)決算説明資料で、高度な光学的表現を可能にするポストエフェクトミドルウェア「YEBIS」と、リアルタイムに変化する反射光の効果を追加することができるミドルウェア「Enlighten」について、「STADIA」に対応させるために準備を進めていると発表。「現時点では予定通り今夏をメドに対応を完了させる見通しだ。また、いくつかのゲーム会社から引き合いをいただいている」(IR担当)とした。また、「STADIAに限らず新たなゲームプラットフォームが生まれることにより、当社のビジネスチャンスは拡大する」(同)としており、20年11月期以降の業績への寄与を期待している。

同じくゲーム向けにミドルウェアを手掛けるCRI・ミドルウェア <3698> [東証M]は今年3月、「STADIA」に対応した各種ミドルウェアの提供を開始すると発表した。同社の「STADIA」対応製品としては、統合型サウンドミドルウェア「CRI ADX2」と高画質・高機能ムービーミドルウェア「CRI Sofdec2」の2製品があるが、「既に引き合いは複数受けており、開発キットの提供を開始している」(IR担当)という。また、「プラットフォームの拡大がミドルウェアの利用機会増加に繋がることから、(STADIAについては)ポジティブに捉えている」として、シリコンスタジオ同様に「STADIA」への期待をのぞかせており、両社が関連銘柄の代表格となりそうだ。

●ホスティング企業などにも注目

このほか、ASJ <2351> [東証M]もメリットを受ける企業として注目。同社はサーバ事業に加えて、ゲームもサービスとしてリリースしており「『STADIA』のようにサーバを介して提供するゲームが増えるということは、市場拡大が見込まれることから、サーバを提供する側としても、コンテンツを制作する側としてもプラスになる」(管理本部)としている。

更に、ゲーム開発会社向けにクリエイターやエンジニアを派遣するエクストリーム <6033> [東証M]や、クラウドゲームそのものへの関心が高まれば独自のクラウドゲーム配信プラットフォーム「G-cluster(ジークラスタ)」を展開するブロードメディア <4347> [JQ]なども関連銘柄として注目されそうだ。

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